チッチョ・思い出

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チッチョの思い出とボイス

思い出1

キャトラ

あら？　何かしら～？

大きなぬいぐるみねぇ。

路上に置かれた
ぬいぐるみに近づくと、
それが不意に立ち上がった。

キャトラ

ぬ、ぬいぐるみが動いたぁ～！？

チッチョ

……ぼく、ぬいぐるみじゃない。

……ぼく、チッチョ。

キャトラ

お、男の子ぉ！？

アイリス

君……ぬいぐるみを着てるの？

チッチョ

……ん。

これ……かわいいから。

アイリス

うん、そうね、すっごくかわいい。

チッチョ

……ホント？　そう思う？

アイリス

うん。ホントだよ。

チッチョ

……えへ。

ぬいぐるみの奥で、
少年ははにかむように笑った。

思い出2

チッチョ

…………

チッチョが、こちらをじいっと
見つめている。
何か期待する眼差しだ。

アイリス

あら、チッチョ。こんにちは。

今日はおめかししてきたのね。

チッチョ

……！

……わ、わかる？

アイリス

うん。いつもよりかわいいもの。

チッチョ

……そ、そう？　そう思う？

主人公も？

うなずくと、チッチョは、
おずおずと笑った。

チッチョ

……あは。よかった。

チッチョ

かわいい方が、ね……

いいもんね……えへ。

チッチョ

そう……かわいくなくちゃ。ね

かわいくなきゃいけないもんね……

思い出3

アイリス

チッチョは、

ぬいぐるみが好きなのね。

チッチョ

ん……

かわいいから……好き。

チッチョ

お父さん、貴族で……

昔、どこかの国の

パーティに行ったの。

チッチョ

ぼく、隅っこでじっとしてたら……

女の子がやってきて……

チッチョ

『かわいいから』って、

ぬいぐるみくれたの……

アイリス

それ以来、好きになったのね。

キャトラ

ふぅ～ん。その時のぬいぐるみは？

チッチョ

燃えた。

キャトラ

え……？

チッチョ

燃えたよ……ぜんぶ。

なくなったんだ……みんな。

チッチョ

家と……お父さんとお母さんごと。

ぜんぶ……ぜんぶ燃えた……

思い出4

チッチョ

う……うぅうぅううう……

うぅぅううわあぁああああーっ！！

絶叫を上げ、チッチョが
小さなぬいぐるみを
ハサミで切り刻む。

チッチョ

こんな、こんなこんなこんなっ！

う、うあーっ！　うああぁああー！

アイリス

チ――チッチョ！？

どうしたの！？　落ち着いて！

チッチョ

あ、ああーっ！　ああっ……！

ああ……あぁあ……ぐすっ……

ぬいぐるみをバラバラに切り裂き、
チッチョは泣きながらうずくまる。

チッチョ

う……うぅっ――ぐすっ……

と、時々……こうなの……

チッチョ

き、きれいなもの……

かわいいもの……

時々……壊したくなるの……

アイリス

チッチョ……

チッチョ

す、好きなのに……きらいなの……

がまんできなくなっちゃうの……

チッチョ　

き……気持ち悪いよね。こんな。

うぅ……こんな……こんなの……

アイリス

…………

アイリスが、
無言でチッチョを抱きしめる。
その胸に――ふんわりと。

アイリス

――そんなこと、ないよ。

アイリス

君が苦しんでるなら……

助けたいって、そう思うよ――

チッチョ……

チッチョ

う――うぅ――うぅううぅうう……

チッチョ

うぅうあ……うあ……

うわあぁぁぁああん……！

思い出5

チッチョ

……お父さんとお母さんはね。

一度も、ぼくを抱かなかったの……

チッチョ

だから……かわいくなりたかった。

ぬいぐるみみたいに。

抱きしめてもらえるように……

キャトラ

それで……

ぬいぐるみをかぶったのぉ？

チッチョ

…………

チッチョ

ううん……ちがうの。それは……

それ、は……う……うぅ―

アイリス

チッチョ……無理しないで、ね？

思い出したくないなら……

チッチョ

だめ――だめだよ……うぅ……

思い――出さないと……

チッチョ

そ――そうしないと……ぐすっ……

前に……進めないもの……！

思い出6

(※主人公が光る)

チッチョ

あ――ああ……光……きれいな……

光……炎……うぅ……あああーっ！

アイリス

だいじょうぶだよ――

チッチョ……

ガタガタと震えだすチッチョを――
アイリスが繋ぎ止めるように抱く。

アイリス

ここにいるから……

ね――？

チッチョ

あ……う――ぐすっ……

う、う、う……

チッチョの震えは徐々に収まり――
やがて、彼はつぶやいた。

チッチョ

あの日……屋敷が襲われたの……

チッチョ

怖い人が、たくさん来て……

屋敷を燃やして……

お父さんと、お母さんを――

チッチョ

ぼ……ぼくは、怖くて――

ぬいぐるみに隠れて……

それで助かって……

チッチョ

た――助けられなかったッ！

アイリスの腕にすがりつくように、
チッチョは号泣する。

チッチョ

お父さんも――お母さんも……！

だ、抱いてもらえないまま……

目の前で……いなくなったッ！

チッチョ

ぼく、じっとしてただけだった……

ぬいぐるみのなかで……ずっと！

チッチョ

ぬいぐるみじゃ、何もできない……

か、かわいいだけじゃ……

なんにもならないッ！

アイリス

チッチョ――

チッチョ

うぅ……ぐすっ――

ぼくは、かわいくなきゃだめで……

でも、かわいいだけでもだめで……

チッチョ

強くなきゃ、いけなかったの……

そうでなきゃ、守れないの……

チッチョ

だから……

チッチョは静かに顔を上げた。
涙の奥に、
決意の光をきらめかせて――

チッチョ

今度は……負けない……

怖くても……戦う！

チッチョ

みんなといっしょにいたいから……

ぼく……ぼくは……

アイリス

……うん、行こう――チッチョ。

みんなで……前に進もう。

チッチョ

ん……うん……！

進みたい……進むんだ……

チッチョ

今度こそ……前へ……！！

思い出7

チッチョ

う……うぅ……うぅうぅうぅ……！

新しいぬいぐるみを手にした
チッチョが、体を震わせている……

キャトラ

チッチョ……！

チッチョ

かわいい……ぬいぐるみ……

かわいい……かわいい……！

うぅうぅうぅうぅうぅうぅ……！

アイリス

がんばって、チッチョ……！

チッチョ

刻みたい……！

刻みたいよぅ……！

かわいいだけじゃ……！

チッチョ

かわいいだけじゃ……！

チッチョ

でも……！

チッチョ

うぅうぅうぅうぅうぅうぅ……！

思い出8

チッチョ

う……うぅうぅううう……

うぅぅううわあぁああああーっ！！

チッチョ

…………

チッチョ

……ガマン……

できたよ……！

チッチョ

……ぬいぐるみは……

……ぼくじゃないから……

チッチョ

……ぼくはもう――

――守る側だから――！

チッチョ

ぼくは――もうだいじょうぶ……！

チッチョ

これからもーーみんなと戦うよ！

ボイス

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【キャラ説明】

大きなぬいぐるみをかぶった少年。

鬱屈した眼差しをのぞかせるが、

時に素直な笑顔を見せる。

【詳細設定】

本名：チッチョ・ブルローネ (cv.降幡愛)

二つ名：[ぬいぐるみを被る少年]→[抑圧された自我の解放]

種族：人間　(元貴族)

年齢：11歳

出身地：社交の島・ゼメキア

人間関係： 助けてもらった→リスリー

友人→リーゼロッテ、ベンジャミン

同時期登場キャラ

初期フォースター 2014/7/14

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