ハーヴェイ・思い出

ハーヴェイの思い出とボイス

思い出1

ハーヴェイ

空に浮かぶ島――か。

ハーヴェイ

どうやら私の知らない

技術が使われているな。

ディーラ

人間には過ぎた代物だ。

キャトラ

まあまあ、そんなこといわずに。

アイリス

いらっしゃい、

ハーヴェイさん、ディーラさん。

ハーヴェイ

しばらくやっかいになるぞ。

キャトラ

しばらくといわず、

いつまででもいていいわよ。

ハーヴェイ

……そうか。

ハーヴェイは、飛行島の街を
じっくりと眺めた。

ハーヴェイ

この島は、町としての機能が

十分に備わっているようだが。

アイリス

ええ。

いまもまだ発掘中なんですよ。

ハーヴェイ

ふむ。

……自然との調和も見事だ。

景観を重視した作りになっている。

ハーヴェイ

そして何より――安全だ。

ハーヴェイ

ディーラ、やはりここだな。

ディーラ

そうだな。あの子達にとって、

よい環境であることに

間違いはないだろう。

キャトラ

えっと……なんの話？

ディーラ

こちらの話だ。

キャトラ

えー……気になる。

ハーヴェイ

子供達が戻ってきたら、

話すとしよう。

アイリス

シオンさんとレナちゃんは、

いまどこに？

ハーヴェイ

お前達への土産を

買いに行かせている。

アイリス

それは、ご丁寧に……

キャトラ

ねえ、一緒に行かなくて

大丈夫なの？

ハーヴェイ

ついて行こうとしたら断られた。

おつかいをしたい年頃なのだろう。

ディーラ

シオンがついているから

心配はない。

ハーヴェイ

………

キャトラ

（パパはやっぱり

心配みたいね……）

思い出2

レナ

おとーさーん！！

おかーさーん！！

シオン

戻ったわ。

ディーラ

帰ってきたな。

ハーヴェイ

ああ。おかえり。

レナ

おとーさん！

レナ、ちゃんとおつかいできたよ！

ハーヴェイ

よくやった、レナ。

偉いぞ。

ハーヴェイはレナの頭を撫でた。

レナ

えへへ……

シオン

……というわけで、はいこれ。

キャトラ

わあ！！

おいしそーなマドレーヌ！

アイリス

ありがとうございます。

みんなで食べましょう。

ハーヴェイ

その前に、皆に頼みがある。

ハーヴェイ

ここに……この飛行島に、

私達家族の家を建てたいのだが。

アイリス

家……ですか？

ディーラ

ああ。我ら四人が暮らせる家だ。

レナ

……あのね、きのう、みんなで

話しあったの。もういちど、

おうちを建てたいねって。

ハーヴェイ

……家族が帰る場所を、

もう一度作ってやりたいのだ。

ハーヴェイ

お前達がいるこの飛行島でなら、

安心して生活できそうだしな。

シオン

……ダメかしら？

キャトラ

イイんじゃない？

土地はまだあまってるし。

ね、主人公？

アイリス

私たちもよろこんで

お手伝いします。

レナ

やったー！！

ありがとう！！

ハーヴェイ

すまん。恩に着る。

キャトラ

それにココには＜専門家＞が

いるから……きっと

いい家ができるわよ～♪

ディーラ

……いい家、か。

ハーヴェイ

ああ、ディーラ。

今度こそ、だ。

ハーヴェイ

……

思い出3

ハーヴェイ達の家作りが始まった。

キャトラ

というわけで、＜専門家＞の

大工星たぬきにきてもらったわ。

大工星たぬき

キュッキュー！

ディーラ

なるほど……

腕と知識は確かなようだ。

ハーヴェイ

一目で見抜くか。

大工星たぬき

キュッキュッキュー♪

レナ

なんていったの？？

キャトラ

『恐れ入ります』だって。

ハーヴェイ

たくましい星たぬきよ、

家作りへの協力、感謝する。

大工星たぬき

キュー！！

シオン

じゃあ、始めましょうか。

………

……

大工星たぬき

キュッ、キュー。

ハーヴェイ

掘れば掘るほどわかる。

実にいい土だ。

ディーラ

……我の爪は、

土を掘削するためにあるのでは

ないのだがな……

ハーヴェイ

ここなら作物もよく実る。

野菜でも作るか。

レナ

つくるー！！

レナね、トマトがいいー！！

キャトラ

……カニカマの種とか

ないかしらん……

シオン

……これはいい。

……これはダメ。

アイリス

シオンさんは

何をしているんですか？

シオン

釘の選定をしてる。

キャトラ

それ、全部新品だけど……？

シオン

……一応、ね。

ハーヴェイ

シオンには細々（ほそぼそ）とした作業を任せている。

ハーヴェイ

レナ、お前は応援だ。

レナ

うん！

おとーさん、おかーさん、

おねーちゃん、がんばれー！

ハーヴェイ

ああ、＜お父さん＞は頑張るぞ。

アイリス

ねえ……

ハーヴェイさん、どことなく

楽しそうじゃない？

キャトラ

そうね……

うんうん、イイことだわー。

思い出4

ハーヴェイ達の家作りは続く。

大工星たぬき

キュッキュッキュー！

ハーヴェイ

よし、柱と梁の組み上げだ。

レナ、シオン、離れていろ。

……ディーラ、始めるぞ。

ディーラ

わかっている。

まずはこの柱だろう？

ハーヴェイ

そうだ。

ゆっくり、慎重にな。

ハーヴェイ

レナ、シオン。ランチタイムだ。

＜お父さん＞が作った弁当が

あるぞ。

レナ

わーい！

おとーさん、ありがとうー！

シオン

……いつも通り、美味しい。

ハーヴェイ

スープもあるぞ、

バランスよく食べるのだ。

大工星たぬき

キュッ、キュッ、キュキュー。

ハーヴェイ

なるほど、ここをこう、だな。

ディーラ、そっちも同じように頼む。

ディーラ

……む……

我にはいささか繊細過ぎる

作業だな……

ハーヴェイ

主人公、

頼めるか？

レナ

アイリスちゃん、みてみてっ！

みんながおうちを作ってる絵を

描いたの！

アイリス

あら……

とっても上手よ、レナちゃん。

キャトラ

アタシはもうちょっと

プリチーだけどね。

レナ

おうち、まだかなー♪

早くできないかなー♪

………

……

ハーヴェイ

……もう、こんな時間か。

今日はこのぐらいにしておこう。

ハーヴェイ

――洗濯物を取り込まねば。

アイリス

ハーヴェイさん、

レナちゃんは私が宿まで

連れていきますから。

アイリスのひざの上で、
レナが気持ちよさそうに
眠っている。

ハーヴェイ

そうか。すまんな。

ハーヴェイ

………お前達には――

ハーヴェイ

色々と、本当に感謝している。

それから――

ハーヴェイ

……いや、なんでもない。

ディーラ

………

シオン

片づけ、終わったわよ。

……どうしたの？

ハーヴェイ

……もう少しだ、シオン。

もう少しで、完成する。

――私達の家が。

シオン

そうね。

……ねえ、ハーヴェイ。

シオン

私は……変われるかしら。

この島での、この家での暮らしで、

今まで以上に変わる事が

出来るかしら。

ハーヴェイ

変われるさ。きっとな。

＜お父さん＞が保証する。

シオン

そう。

……ありがとう。

ディーラ

ハーヴェイ、お前――

ハーヴェイ

何も言うな。

ディーラ

………

思い出5

ハーヴェイ

………

ディーラ

………

レナ

………

シオン

………

――飛行島の一角に、
一軒の家が建った。

ありふれた、けれども温もりのある
ささやかな家だ。

レナ

おうち、できたね！

ハーヴェイ

ああ……出来たな。

ハーヴェイ

………

アイリス

……ハーヴェイさん？

ハーヴェイ

これで、もう安心だ。

……お前達。

ハーヴェイ

シオンとレナを頼む。

キャトラ

え……どういうこと？

ハーヴェイ

私にはやらねばならぬ事がある。

家族と共に暮らす為に、必要な事だ。

ディーラ

……やはり、な。

ハーヴェイ

奴らがいる限り、

真の平穏が訪れる事はない。

ハーヴェイ

……私の家族に、

本当の幸せが訪れる事はない。

ハーヴェイ

レヴナントを、潰す。

私はそう＜決意＞した

レナ

おとーさん、

一緒に暮らせないの……？

うそだよね……？

シオン

………

ディーラ

ハーヴェイ、勝手な真似をするな。

シオンとレナの事も考えろ。

ハーヴェイ

考えた結果だ。

ディーラ、お前は二人に

ついていてやってくれ。

ディーラ

愚か者めが。

力づくで止めないとわからないか？

ハーヴェイ

ディーラ。

行かせてくれ。頼む。

ディーラ

………

思い出6

ハーヴェイ

主人公……

レナ

おとーさん……

レナは、もう、離れたくないの……

レナ

おかーさんとも、

おねーちゃんとも、

離れたくないの……

レナ

一緒にいたいの……

ずっと一緒に……

う……うう……

レナ

うええええーーん！！

ハーヴェイ

…………

シオン

ハーヴェイ。

……うまく、言えないけど……

私も、レナと同じよ。

シオン

私達は……一緒にいるべきよ。

ハーヴェイ

……シオン……

ディーラ

全く……

娘に諭されるようでは、

＜お父さん＞もまだまだだな。

ハーヴェイ

…………私は…………

アイリス

……ハーヴェイさん。

確かに、レヴナントと戦うのも大事だと思います。

キャトラ

けどさ、いまはもっと大事なことがあるんじゃない？

ハーヴェイ

大事な事、か。

ハーヴェイ

……シオン、レナ、ディーラ。

ハーヴェイ

どうやら私が間違っていたようだ。

すまない。

レナ

……おとーさん、

どこにも行かない？

ここに、いてくれる？

ハーヴェイ

ああ、いるぞ。＜お父さん＞は、

お前達の側にいる。

ハーヴェイ

――そう、＜決意＞した。

レナ

おとーさあああん！！

シオン

それで、いいと思うわ。

……ハーヴェイ。

ディーラ

ふ……

世話の焼ける男だ。

レナ

ほらほら、おとーさん！

レナに手を引かれ、ハーヴェイは
歩き出す。その後を、
シオン、ディーラが続いた。

アイリス

……いいわね、家族って。

キャトラ

あら、アタシたちも

家族みたいなモンでしょ？

アイリス

ふふ、そうね……

四人の家族が、仲睦まじく
家の中へと入っていく。

飛行島に、幸せの花が咲いた――

ボイス

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