ベンジャミン・思い出

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思い出1

？？？

ごきげんよう、

主人公。

ベンジャミン

アタシはベンジャミン。

ご覧の通り幽霊だけどよろしくね。

ベンジャミン

あら、どうしたの？

アタシの顔に何かついてる？

キャトラ

仮面。

アイリス

仮面……ですね。

ベンジャミン

あら失礼、そうだったわね。

でもその反応、違和感があるわ……

この仮面、ヘンかしら？

ベンジャミン

……もしかして怖い？

大丈夫よ、幽霊だからって誰かを

呪い殺したりはしないのよ？

ベンジャミン

あと……一つ言っておくわね。

アタシが好きなのは麗しい女性よ。

ベンジャミン

貴方を取って食おう、なんて事は

微塵も考えていないから

安心してちょうだいね。

アイリス

そうだったんですか。

ならなぜそんなしゃべり方を？

ベンジャミン

うふふ、それはひ・み・つ♪

魅力的な紳士には謎がつきものよ？

キャトラ

……紳士とか、魅力ってどういう

意味の言葉だっけ、っていうのが

よくわからなくなるわね……

思い出2

アイリス

あの、ベンジャミンさん。

ちょっと質問いいですか？

ベンジャミン

ごきげんようアイリスさん。

どうしたの？　またアタシの顔に

何か付いてる？　仮面以外で。

アイリス

いえ、そうではないのですが……

ベンジャミンさんは貴族の方

だったのですか？

ベンジャミン

あら、なぜわかったのかしら？

アタシの高貴さは隠せない、という

ことかしらね。

キャトラ

いや服とかどう見ても……

ベンジャミン

……えぇ、お察しの通りよ。

とても優雅な暮らしだったわ。

ベンジャミン

昼はご婦人方との

アフタヌーンティーを楽しみ、

夜は舞踏会で華麗な踊りを……

キャトラ

ふーん。

貴族って遊んでばっかりなのね。

ベンジャミン

そう思うでしょ？　でもその

優雅な社交場の裏では黒い陰謀が

渦巻く恐ろしい世界なのよ。

ベンジャミン

アタシもそれで……いや、そんな

話は必要ないわね。

ベンジャミン

それよりも、アタシの過去の

モテ話でもしちゃおうかしら？

キャトラ

う、うん……それは聞きたいような

聞きたくないような……

ってかモテるんだ……

ベンジャミン

えぇ、舞踏会でのアタシの

ステップはご婦人方にとても

評判良かったのよ？

キャトラ

へぇー、それはちょっと

見てみたいかも！

アイリス

私も！

ベンジャミン

そうね、でもアタシ一人では

踊れないから、相手が必要なのよ。

キャトラ

じゃあここはアイリスが！

アイリス

え、えっ？　私、踊ったことなんて

一度もないよ？

ベンジャミン

お相手していただけるなら、

アタシが精一杯のエスコートを

いたしますわよ？

キャトラ

ほら、ベンジャミンも

ああ言ってるし。

やってみなよアイリス！

アイリス

は、はい……よろしくお願い、

します……。

アイリスのぎこちない動きを　　　
最大限フォローし、ベンジャミンは
華麗な踊りを披露する。　　　　　

キャトラ

すごいねベンジャミン！

これならモテるのもわかるなー！

うん、納得！

ベンジャミン

お気に召していただけて

何よりだわ、アイリスさんも

お付き合いありがとう。

アイリス

わ、私はすごく疲れました……。

思い出3

アイリス

ベンジャミンさん、最近噂に

なっているみたいね。

キャトラ

生前に踊り足りなくて死後永遠に

踊り続ける＜仮面舞踏会の幽霊＞。

そんな怪談に……

ベンジャミン

失礼しちゃうわよね。

アタシそんなに踊り狂ってる

わけじゃないのに。

キャトラ

そうそう。

キャトラ

……ってベンジャミン！

いつからそこに？！

ベンジャミン

今来たところよ？

音も無く忍び寄れるのは

幽霊の特権かしらね。

キャトラ

……まぁそれはいいとして。

踊りに未練があるんじゃないなら、

何で幽霊に？

ベンジャミン

それは……

ベンジャミン

ひ・み・つ♪

キャトラ＆アイリス

…………

ベンジャミン

魅力的な紳士には秘密は

つきものなのよ。

覚えておくといいわ♪

キャトラ

それ前も聞いた……

アイリス

でもほら、紳士なのは事実だし。

ベンジャミン

さすがアイリスさん。

よくわかってるじゃない。

アイリス

ありがとうございます。

キャトラ

それ、褒め言葉なのかしら……

ベンジャミン

でも仮面舞踏会には

参加してたわよ。

キャトラ

仮装パーティーみたいな？

ベンジャミン

その意味合いもあるけど、

仮面舞踏会はお互いの素性を

隠して参加するの。

ベンジャミン

貴族の間では争いが多いから、

そういうの抜きで楽しむための場、

ということよ。

キャトラ

貴族って大変なのね……

遊ぶためにそんな事まで

しないといけないなんて。

ベンジャミン

えぇ、そうね。仮面舞踏会で

出会って恋に落ちた２人が

実は敵同士だった……

そんな悲しい事もあるのよ。

アイリス

切ない話ですね……

思い出4

ベンジャミンが見知らぬ女性と
話している。　　　　　　　　

ベンジャミン

……ごめんなさいね、アタシ

こんなだから。きっと貴方の

期待にはお応えできないわ。

ベンジャミンの言葉を聞き、　
驚いた顔で女性は立ち去った。

アイリス

……ベンジャミンさん、今のは

どうしたんですか？

ベンジャミン

あぁアイリスさん、見られて

しまったのね。

キャトラ

今のって告白された、とか？

ベンジャミン

そんな感じかしら。でもほらアタシ

幽霊でしょ？

それなのにお応えしても、ねぇ。

アイリス

……幽霊とか、関係ないと

思います!

アイリス

幽霊でも……今こうして

お話できているのに……

ベンジャミン

……そうね、幽霊である事を

理由にしちゃいけないわよね。

ベンジャミン

…………

ベンジャミン

アタシね、生きてる時に恋人が

いたの。幽霊になった今でも

その人を忘れていない……

ベンジャミン

だから、アタシは他の女性とは

お付き合いする事はできないのよ。

アイリス

そうだったんですか……

私、失礼な事を言っちゃいました。

ごめんなさい。

ベンジャミン

ううん、いいのよ。

アタシがちょっと自分語りを

したくなっただけだから。

ベンジャミン

それに……貴方の言葉、すごく

アタシの心に響いたわ。

ありがとう、アイリスさん。

キャトラ

今のベンジャミン、ちょっと

いつもと感じが違ったわね。

アイリス

ベンジャミンさん、どうしちゃったのかな……

思い出5

ベンジャミン

…………

アイリス

あの……ベンジャミンさん？

ベンジャミン

……あら、アイリスさん。

主人公さん（あなたも）。

ごきげんよう、どうしたのかしら？

アイリス

なんだかベンジャミンさん、

元気が無いなと思って……

どうしました？

ベンジャミン

……アタシが幽霊になった理由。

聞いてくれるかしら。

アイリス

……はい、私でよければ。

ベンジャミン

アタシね。生きているうちに

ある人に伝えられなかった言葉が

あるの。

それが未練となって幽霊に……

アイリス

ある人、ってこの前話して

くれた恋人……？

ベンジャミン

……そうよ。でもご覧の通り

アタシは幽霊。こんなアタシの

言葉を聞いてもらえるか、

自信がないの。

ベンジャミン

……アタシね、その彼女に

殺されて幽霊になったのよ。

舞踏会の時に毒を盛られて。

アイリス

そんな……どうして？

恋人だったんじゃ

なかったんですか？！

ベンジャミン

えぇ、でもアタシたちはお互い

敵対する家系の生まれだった。

アイリス

もしかして、前に聞いた

仮面舞踏会の話って……

ベンジャミン

……僕たちは仮面舞踏会でしか

会う事ができない運命だった。

それでも僕は、彼女を愛していた。

ベンジャミン

彼女も僕を愛していてくれた。

でも、おそらく彼女は舞踏会で

僕と会っている事を気づかれて

しまったんだろう。

ベンジャミン

僕の最期の記憶は、彼女が

泣きながら謝る声だった。

ベンジャミン

家に逆らって生きる事はできない。

仕方なかったんだ、僕もそれは

わかっている。

ベンジャミン

だから、彼女を恨んだりは

していないんだ。それを彼女に

伝えたい……

ベンジャミン

でも、幽霊として彼女の前に

現れると、きっと彼女は恨みを

晴らしにきたと思うのではないか。

ベンジャミン

……そう考えると、彼女の元に

向かうのが怖いんだ。

アイリス

ベンジャミンさん……

私たち、何か力になれませんか？

ベンジャミン

主人公さん、

アイリスさん……

アイリス

私たち仲間ですから！

きっとベンジャミンさんの

支えにもなれると思います。

ベンジャミン

……そうだね。

僕に必要な勇気、貴方たちなら……

思い出6

ベンジャミン

……この光は……

前に進む力を僕に与えてくれる、

そんな暖かさがある……

ベンジャミン

これが……ルーンの力……？

アイリス

ベンジャミンさん、想いは

言葉にして伝えるべき……と

私は思っています。

キャトラ

想ってることって言わなきゃ

伝わらないものよね。

アイリス

大丈夫ですよ、両想いだったのなら

きっとベンジャミンさんの言葉、

届くはずです。

ベンジャミン

……そうだね、幽霊だから……とか

そんな事は関係ないはずだよね。

ベンジャミン

僕は……彼女に会って、この想いを

伝える事にする。

皆さんのおかげで勇気を持つ事が

できたよ。ありがとう。

アイリス

ベンジャミンさん……

よかった……！

キャトラ

じゃあ、もう行っちゃうの？

ベンジャミン

いや、それは君たちの旅が

終わってからにするよ。

僕に勇気をくれた君たちへの

恩を返してからに。

アイリス

ベンジャミンさん……

ありがとうございます！

ベンジャミン

だから、またしばらく

お世話になるよ。

ベンジャミン

アタシ、頑張っちゃう！

キャトラ

あ、いつものベンジャミンに

戻った。

アイリス

そういえば、どうしてそんな

しゃべり方を？

ベンジャミン

自分に女性を近づけないために、

かしら。それだけ彼女への想いが

強かったのね、きっと。

キャトラ

何だかすごく他人事っぽくない？

ベンジャミン

そうなのよ、幽霊になったら

自然とこういう口調になって

しまったの。困っちゃうわ。

キャトラ

たしかにその口調じゃ

『ベンジャミンさん素敵！』って

言う人はあまり来ないわね。

ベンジャミン

でもこれ、ここだけの話よ？

こんな話が知られたら恥ずかしくて

死んじゃうかも？

キャトラ

もう死んでるじゃん！

アイリス

は、はい……私たちだけの

秘密……ですね。

ベンジャミン

秘密の共有……あぁ素敵だわ……

主人公さんも

お願いね？　もししゃべったら……

ベンジャミン

オ・シ・オ・キ、

しちゃうんだから♪

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