ミオ・思い出

ミオの思い出とボイス

思い出1

ミオ

…………

不思議なスーツをまとった少女が、

直立不動で佇んでいる。

アイリス

あなたは……？

ミオ

私はミオ。

モンスターせん滅用に開発された

人造人間です。

キャトラ

人造人間……？

造られたってこと！？

ミオ

はい。半年前に製造されました。

アイリス

驚いた……

人間と変わらないように

見えるけど……

ミオ

私は機械であり、兵器です。

人間ではありません。

ミオ

食事も睡眠も不要です。

モンスターのいる

戦場に派遣してください。

ミオ

エリミネイタープログラムに従い、

最適な手段でせん滅を実行します。

思い出2

アイリス

ミオ、本当に食事はいらないの？

ミオ

不要です。私はルーンレプリカの

供給エネルギーで動作しています。

アイリス

ルーンレプリカ？

ミオ

ルーンのコピー品です。

私にモンスターをせん滅する力を

与えています。

ミオ

せん滅以外に、

身体能力を要する作業においても

高い性能を発揮します。

キャトラ

ふぅ～ん、ホントかしら？

実は戦闘以外は

ダメダメだったりして～。

ミオ

事実です。

キャトラ

だったら、

アタシが逃げても捕まえられる～？

あ、武器はナシよ？

ミオ

容易です。

戦闘能力のない動物の捕獲程度、

造作もありません。

キャトラ

むかー！

なら捕まえてみなさいよぉ～！

ミオ

受諾しました。追跡を開始します。

逃げるキャトラを高速で追うミオ。

キャトラは狭い道に逃げ込む。

キャトラ

ほ～ら、こっちよミオ～！

アハハ～！

ミオ

む……回避パターンを自動計算。

索敵情報更新。肩部レーダー作動！

キャトラ

キャハハ～！　猫の逃げっぷりを

ナメんじゃないわよ～！

思い出3

ミオ

…………

アイリス

ごめんね、ミオ。

今、拭いてあげるから。

泥だらけになったミオの顔を、

アイリスが、ていねいに布で拭く。

キャトラ

ふふふ……

これでアタシの四連勝ね、ミオ！

ミオ

……キャトラの行動パターンは

解析しました。次は勝ちます。

キャトラ

あ～ら、

それ聞くの何回目かしらぁ～？

キャハハ～！

アイリス

からかわないの、キャトラ。

ミオもまだダメ。

かわいい顔が台無しよ。

ミオ

私の顔は

ただのインタフェースです。

かわいいという修飾は不要です。

アイリス

？　よくわからないけど……

でも、ミオの顔だもの。

大事にしなきゃ。

アイリス

主人公も、

かわいいって思うでしょ？

うなずくと、

ミオは困ったように目を伏せた。

ミオ

……なんと言っていいのか、

わかりません。

ミオ

私は、兵器ですので……

思い出4

キャトラ

ちょっとミオーっ！

あの壁に変な液を塗ったの、

アンタでしょ～！

ミオ

変な液ではありません。

補修用のリカバリタールです。

キャトラ

そういうことじゃないのぉ～！

もぉ～。

ベタベタするじゃないの～！

ミオ

あの壁で爪を研ぐからです。

あれは

あなたの所有物ではありません。

キャトラ

キーッ！　アンタ、

アタシが爪とぎしてるの

知ってて塗ったのねぇ～！

ミオ

あくまで補修のためでしたが、

どうやら一石二鳥のようですね。

キャトラ

こぉーのバカロボットぉ～っ！

待ちなさぁ～い！

ミオ

待ちません。ロボットではなく

アンドロイドですので。

アイリス

ふふっ……

すっかり仲良しになったね。

あのふたり。

キャトラ

こらぁーっ！

待てって言ってるでしょぉ～！？

ポンコツぅ～！

ミオ

待つ理由がありません。

ポンコツではなく

ハイスペック機ですので。

キャトラ

うがぁーっ！

思い出5

ミオ

今日こそ捕まえてみせますよ、

キャトラ。

キャトラ

へぇ～だ。

アンタみたいなポンコツに

掴まるわけないもんね～。

ミオ

いえ捕まえます。今回は対猫用に

最適化した疾走形態で……、

……！？

不意に、ミオがつんのめった。

そのまま、地面に両膝を着く……

キャトラ

ちょっと、どうしたの！？

ミオ

……ルーンレプリカに不調を確認。

交換が必要なようです……

アイリス

そうなの！？

じゃあ、早く交換しないと！

ミオ

……いやです。

交換したくありません。

キャトラ

なに言ってんのよ！　交換しないと

動けなくなるんでしょ！？

ミオ

その方が……いいです。

キャトラ

なんで！？

ミオ

私の電子脳には、

人間のような感情は

プログラムされていません……

アイリス

え……？でも、ミオは、

どんどん明るくなって、

冗談だって……

ミオ

おそらく、

ルーンレプリカが私の感情に……

心になっているのです。

キャトラ

えっ……？　じゃあ……

ミオ

ルーンレプリカは補充がきかず……

交換するしかありません。

ミオ

でも、交換したら……

＜今の私の心＞は

なくなってしまう……

ミオ

だから、いやです。

心を失うくらいなら……

朽ち果てたほうがマシです！

思い出6

ミオ

……！　なんでしょう、この光……

既知ではない……でもなつかしい……

ミオ

これは……ああ――心なのですね。

私とあなたの心の光なのですね……

キャトラ

ミオぉ……

キャトラが悲しそうに近づくと――

ミオの手が、彼女を抱いた。

ミオ

……やっと捕まえました。

キャトラ、これで私の1勝です。

キャトラ

え……

そのまま、ミオは軽やかに起き上がり、

全身の動きを確認し始める。

ミオ

ふむ。動作良好。

今のルーンの光で、

レプリカが回復したようです。

ミオ

ありがとうございます、

主人公。

あなたは恩人です。

キャトラ

こ……

キャトラ

このばかぁ――――っ！

ひ、人が心配したってのにぃーっ！

ミオ

おや、キャトラ、

心配してくれたのですか？

キャトラ

してない！

してないわよ、もーっ、ばか！

ばかばか、ポンコツぅ！

ミオ

ポンコツではありません。

キャトラを抱いたまま――

ミオは穏やかに微笑んだ。

ミオ

私はミオ。

超ハイスペックな最高傑作機です。

ボイス

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